9/27(日) 同窓会主催若手支援セミナー 開催されました
学術委員会
発信日2015.10.02
更新日2015.10.31
主催:東京歯科大学同窓会 日本大学歯学部同窓会
第二回若手支援セミナーが9月27日に日本大学桜門会館にて開催されました。
東京歯科大学同窓会と日本大学歯学部同窓会は連携事業として、若手の先生方を対象とした講演会を昨年度初めて開催いたしました。広い見地を持つドクターを目指すために歯科の情報のみならず他分野の話題も提供したいと考えております。出身校や卒業年度に関わらず受講料は無料です。
講演内容
①日本を含むアジアの食品衛生実態および動物由来感染症発生状況~こんなにも危険な食事情~
森田幸雄先生(東京家政大学 教授)
②「根管治療」で失敗する本当の理由
鶴町 保先生(日本大学歯学部 教授)
左 森田先生 右 鶴町先生
左から 小幡日大歯学部同窓会会長 鶴町先生 森田先生 矢崎東京歯科大学同窓会会長
当日の質問に対しての回答を鶴町先生より頂きましたので、掲載いたします
質問に答えて(二校会)
1.長期にわたる症例に関して,根管充填の時期・タイミングを教えて下さい.
根管治療の基本原則は,徹底した原因除去(根管拡大と形成)と緊密封鎖(根管充填)であり,根尖部の病変に対する直接の治療は不要です.したがって,単純明快なこれらの基本原則が成し遂げられれば,直ちに最終処置の根管充填を実行することになります.一方,大きな病変を伴う症例では,根管拡大終了後も病巣由来の滲出液が根管から排出し続け,その結果,治療期間が延長させられることもしばしばです.そのような症例に対しては,水酸化カルシウム製剤を貼薬する補助的処置も必要となります.
2.根尖病巣が大きい症例に対して,再発が起こる可能性があると思われますが,その再発に関する先生の考え,ならびに補綴処置を始める時期を教えて下さい.
術前のX線写真上で根尖部に大きな病変があっても,通常の感染根管治療でその病気を治癒させることができます.根管治療の対象はX線透過像の大きさではなく,病変を引き起こしている原因の根管系です.大きい病変で再発する可能性は,患歯の根管内の病因物質を的確に除去できなかったことです.「いつ補徹物を装着したら良いのか?」に対する答えは,①患者に聞く②X線写真を撮る ということです.根管充填2~3週間後に患者を再来させ,患歯が無症状であり,X線写真上で緊密充填が認められれば,直ちに補綴処置を開始してもさしつかえありません.しかし,大きな病変を有する症例では,定期的(1ヶ月,3ヶ月,6ヶ月,1年後,2年後など)に患者に来院してもらい,治療経過の問診とX線写真で判断して,病変の治り具合を確かめてから歯冠修復などを行うことが望ましいでしょう.